STILLDAM SAGA inc.+SHOPS+BARS///Give&Given
Give&Given

Give&Given

JR佐賀駅南口から徒歩約10分のところにある、クラフトビールとジンに特化したお洒落なお店、その名もGive&Given(ギブ アンド ギブン)。
6月11日のWorld Gin Dayに開店5周年記念のオリジナルジンが発売されました。

今回はこのお店のマスターで、今まで何店舗もお店を立ち上げてきた伝説の男、肩書きはGiverの林 定泰氏にお話を伺いました。

Q. 今までたくさんのお店を手がけられてきたそうですが、こちらは何店舗目ですか?

このお店が7店舗目になります。今から23年前、カクテルを覚えたての頃に鹿島でカクテルにこだわったお店を開店させたのが最初で、7月8日が僕の独立記念日です。
その次は夜8時くらいに開店して朝まで営業するスタイルのお店を嬉野で始めました。その頃は完全に昼夜逆転生活でしたね。 その後、武雄でレインビート、アクセル、Give&Given、アフターザレインを作りました。

Q. Give&Givenという名前のお店は以前武雄にもあったのですか?

あったんですよ。途中で名前を変えたので、いつかまた復活させたいな〜と思っていました。佐賀にお店を出すことが決まった時にちょうどいいから復活させようかなって。

Q. お店の名前はどういうところから思いつくのですか?

昔から吉川晃司さんのファンなので、レインビート、アクセル、アフターザレインは曲名から付けたのですが、Give&Givenはコンサルティング会社として世界で始めて株式上場を果たした船井総合研究所(現:株式会社船井総研ホールディングス)の創始者である船井幸雄氏が提唱した『見返りを求めるからうまくいかない、与える人こそがうまくいく』という考え方に基づいた言葉で、結構企業とかでもこの名前が使われています。Give&Takeではなく、Give&Givenということです。だから僕の名刺の肩書きはGiverにしています。

Give&Given

Q. 林さんが今まで作られたお店は、どこもちょっと薄暗くてキッチュな飾り物がたくさん置かれている独特の雰囲気が共通しているのですが、こういった物はどこで入手しているのですか?

昔からインテリアに興味があってリサイクルショップとかを見て回るのが大好きなので、そういうお店で買うことが多いです。欲しかった物に出会うのもタイミングが大事。タイミングが合えば安くていい物が入手できます。
この前、久しぶりに武雄のレインビートに行ったんですが、我ながら『いいお店だな〜』って。かなり背伸びして作ったお店で、インテリアや内装など今見てもなかなかいいな〜と思ってしまいました(笑)。

Q. お店をやめる時って、どういうタイミングなんですか?

何か次にやりたいことが浮かんできた時です。『あぁ、こういうのやりたいな〜』って。 場所を選ぶ時も自分がやろうとしている事と被っているお店があるかどうか調べます。同じようなスタイルのお店が無い場所を選んで移るようにしています。

Q. この「飲めるお店 Pick Up」のコーナーで第1回目にインタビューさせていただいたBAR CASKのバーテンダー中村さんをはじめ、林さんの影響でお酒に興味を持つようになった方が何人もいると聞きましたが…?

和ちゃん(中村さん)は、まだ僕が24、5歳の頃に武雄で友人のバーの雇われ店長をしていた時にお客様でよく来てくれてましたので、そうですね。それ以外はどうだったかな…⁈あまりよく憶えてないけど、たぶんsouRce(以前武雄にあったレストラン)がバースタイルをやっていた時に何か話したのかも?。

Q. 林さんご自身は人生観が変わるような影響を受けた方はいないのですか?

Give&Given

ん〜、強いて言えばお隣のSAKANANBARのマスターとか。でも、お酒に関しての考えが変わるとか、何かに目覚めるとか、そこまではないかな。
そもそも飲食に携わるようになったきっかけは先出の友人のバーでアルバイトしないか、って言われて、それも最初は年末年始だけっていう話だったんですよ。当時はカクテルのカの字も知らなくて、その後もしつこく連絡があって口説かれて…お酒を扱う業界に入ったきっかけはそんな感じです。

Q. その当時、何か他に目指していたことがあったりしましたか?

高校生の頃は漠然とレンタルビデオ屋とか貸しレコード屋の店長をやりたいと思ってましたね。何かはっきりとした目標を持ってやってきてないように思います。その時その時でやってみたいと思った興味のあることを、とりあえずやってきたって感じです。

Q. その割にはとてもうまく行ってる感じがします。今までのどの店も成功してるし。

飲食店ってハードルが低いので入りやすいと思います。少しの資金と保健所関連をクリアできれば始められるので。
でも、僕が面白いなと思ったのは、中学生の頃の文集を大人になってから見たら、最後に『将来の夢』というのが書かれていて、そこに「自分の店を出す」って書いてあったんですよ。 たぶん実家がもともとお店をやっていたこともあったのだろうけど、15歳の頃、漠然とそう思っていたことが26歳で実現できているのがすごく不思議で面白く感じます。

Q. そう聞くとなおさら、かなり順調な人生を歩んできたように感じられますが、挫折とかはありませんでしたか?

いや、振り返ってみると嬉野の時に一度ありましたね。その時の症状を医療関係の方に話したら「あぁ。それは軽い鬱だったんでしょうね」と言われたことがあります。ずっと後になってからですが。

Give&Given

Q. それは自分でも自覚していなかったということ?

そうですね。当時は鬱という言葉すら知らなかったですから。後でそう言われて、始めて嬉野にお店を出したことを後悔しました(笑)。

Q. でも、その程度ですよね?

そうですね(笑)。 スタッフが『無断である日突然来なくなる』とかって“飲食店あるある”でよく聞く話なんですが、僕はそれまで一度もそういう経験が無かったんです。でも武雄時代の後半の何年かで初めてその経験をした時に他の同業者から「今頃経験してるの?普通みんな経験あるよ」と言われましたね(笑)。

Q. 今はクラフトビールを主体にやられているのですか?

武雄のお店でもジンとクラフトビールは少し置いていたのですが、佐賀はさすがに飲食店の数も多いし、いろんなスタイルもあるから、今まで通りにやっていたのでは埋もれるな、と思って他店との差別化の意味で何かに特化しなくちゃと。もともとジンは好きだったし、クラフトビールを少しかじり始めていたので、このツートップをメインにしようと思いました。

Q. 楠乃花蒸溜所でオリジナルのジンを作ろうと思ったのは?

本当は1年半ほど前に作りたいと思ってお願いしていたのですが、新型コロナウィルス感染症の影響もあって、そのうち営業時間の短縮も始まって、きちんとお話ができないまま時間だけが過ぎていきました。結局本格的に動き出したのは今年になってからです。

Q. 今回のGive&Given5周年記念オリジナルジンについて教えてください。

最初、僕自身はジュニパーベリーと佐賀らしい特産物で作りたいと考えていて、中でも佐賀海苔は特に県外の人に人気なので、最初から佐賀海苔を使うという話は出ていました。
いいボタニカルを生かすためには、いろいろな物をちょっとずつ配合した方がいいとのことで、最初は武雄のレモングラスを使った爽やかな試作ができてきました。
Give&Given 飲んでみると大人のレモンチューハイみたいな感じで、とても美味しかったのですが、あまりにも爽やか過ぎて癖がない! 僕らしくないのでは⁈ ということで、その後何回か試作を作っていただく度に、ここで和田さんと一緒に飲みながら、あれこれ模索していた時に、 「クラフトビールがお好きなんでしたら、ホップ使ってみませんか?」と和田さんが提案してくださったんです。 それで、京都の与謝野ホップのカスケード種を使おうということになりました。
実は僕の本籍地は京都なので、これでストーリーが繋がるな、と思いました。ジンってそのストーリー性も大事なので、最終的には鹿島のレモンの皮、嬉野のアールグレイ紅茶、武雄はレモングラス、佐賀は海苔と胡麻を使いました。さらに多久のベルガモットも入っているそうです。
飲んでみた時、僕は最初にグリーンカレーのようなスパイシーな風味を感じたのですが、それはレモングラスとベルガモットがそう感じさせるのだそうです。
今回は、ベースに天山の日本酒ではなく、サトウキビのニュートラルスピリッツを作っていただいて、それを一度蒸留して出来上がったジンに再度ホップを漬け込んで香り付けしています。その際にどのくらいの時間漬け込むのがベストか、漬け込む時間を変えていくつも試作を作っていただき、試飲を重ね最終的に決定しました。
その後、諸事情によりラベルのデザインが遅れたり、ボトルの蓋が間に合わないなどのトラブルがあって、結局6月の第2土曜日が世界的にワールド・ジン・デイ(World Gin Day)ということで、今年6月11日に発売になった次第です。

Q. 紆余曲折あってやっと産まれたんですね。

結果良かったです。ワールド・ジン・デイが発売日ということで、これがずっと残る訳ですから、結局タイミングが良かったと思います。

Q. ラベルのデザインには何かこだわりが?

Give&Given 林 定泰氏

そうですね。尊敬するSAKANANBARのマスターが5周年に出したオリジナルウィスキーのラベルが飼っているわんちゃんの写真だったので、それと同じような感じにしたいとデザイナーさんに相談したら、「そのボトルは縦長なのでいいのですが、こちらのは横長なので…」と言われてしまい、結局写真ではなくイラストになりました。
周りの植物のようなモチーフはホップです。 中央のサイケデリックなモチーフは、実は林 定泰という文字を変形させたデザインになっています。
色は3パターン出してもらったんですが、普段は絶対選ばない色にしようと決めてました。いつもなら絶対ワイン系の色を選ぶんですけど、この色にしました。

Q. オリジナルのジンができた感想は?

いちばん嬉しかったのは、同業者の方々に褒めてもらったことです。
ストレートやロックで飲まれる方が多いようですが、もちろん割っても香りが残って美味しいですよ。
個人的には炭酸がいいと思うけど、バーテンダーの方はソニック(ソーダ+トニック)が合うと言われますね。確かにトニックだけだと甘さが邪魔をするかな。
炭酸で割ってもホップの苦味を感じたり、レモングラスの香りやスパイシーな風味は消えずに残るので、そのあたりを楽しんで欲しいです。

Q. ここGive&Givenは、まだ当分続きますか?

実は自分のお店が5周年を迎えたのは初めてなんです。今まで5年続けた店は無かったので。ここはまだもう少しやりますよ、今のところ(笑)。 いつか来てみて違う店になっていたら、ごめんなさい。でもそれが林 定泰のスタイルだから。

Give&Given

★5th ANNIVERSARY Give&Given DRY HOP GIN

鹿島産レモンピール、嬉野産紅茶(アールグレイ)、武雄産レモングラス、佐賀海苔など、Give&Givenオーナー由縁のボタニカルをはじめ、全15種類のボタニカルをバランスよく漬け込みました。オランダ製蒸留器を使って蒸留、唐津七山の天然水で加水調整して、さらに京都産与謝野カスケード生ホップをドライホッピング手法により仕上げた、Give&Given5周年記念のクラフトジンです。ホップ由来の爽やかな香りと苦みをお楽しみください。

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